槙野監督の処分は2試合停止と罰金10万円 同じ日にJFAは誤審を認める 賛否と論点
結論:Jリーグは10月29日、藤枝MYFCの槙野智章監督に2試合のベンチ入り停止と罰金10万円の処分を科した。徳島戦後のインタビューで審判を「マジでレベル低い」と批判したことが、審判の判定に対する悪質な抗議にあたると判断された。
同じ日、JFA審判委員会は、槙野監督が抗議したハンドの場面について「審判員は正しい判定を導き出すことができなかった」と誤審を認めた。SNSでは「誤審を認めたなら処分は取り消すべき」という声と、「言い方の問題だ」という声に分かれている。
処分の中身
| 処分 | 2試合のベンチ入り停止、罰金10万円 |
|---|---|
| 理由 | JFAの懲罰基準「審判員の判定に対する悪質な抗議」に該当。この基準の最低処分は1試合の出場停止 |
| 1試合 追加の理由 | 試合中に異議で警告を受けていたうえ、公開のインタビューで審判批判を繰り返したことが「加重要素」とされた。Jリーグは言動を「審判員に対するリスペクト精神に著しく欠けるもの」としている |
| 対象試合 | 10月31日の秋田戦、11月3日の磐田戦。太田吉彰ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る |
| クラブ | 藤枝は「心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、スタッフ・選手が相手への敬意をもって行動する姿勢を徹底するとした |
同じ日にJFAが誤審を認めた
処分が発表された29日、Jリーグは「レフェリング環境向上に向けた取り組み」をテーマにメディア向けの説明会を開いた。JFA審判委員会の扇谷健司委員長は、藤枝FW川本梨誉のボールが徳島DF田中隼人の左腕に当たった場面について、次のように説明した。
- 「やはりハンドということで考えております」
- 「残念ながら審判員は正しい判定を導き出すことができなかったというのが、我々JFAとしての見解となります」
判定を誤った審判員については、各試合に配置される評価者(アセッサー)が継続的に評価しており、「同じようにジャッジができないことが続けば、次のシーズンは違うカテゴリー、下のカテゴリーに行ってもらうことはある」とした。一つの判定だけで処分するのではなく、担当カテゴリーを見直す仕組みだという。
J2のVARは年6〜7億円
同じ説明会で、Jリーグの窪田慎二執行役員は、J2にVARを導入する場合、年間で最低でも総額6〜7億円が必要になる見込みだと説明した。VARの資格を持つ審判員を増やす必要があり、J3の審判員の配置にも影響するという。
より簡易的な「VARライト」や、監督の要求で映像を確認する「FVS」についても、「検討はしていますが、まだ実現には至っていない」と述べた。
SNSの反応 「処分は取り消すべき」と「言い方の問題」
- 処分への批判:「誤審を認めるなら槙野さんの処分を白紙にしないと」「誤審は認めるけど槙野監督は処分します…納得できる?」と、誤審の認定と処分が同じ日に出たことへの疑問が目立った
- 審判側への対応を求める声:「処分するなら、明確な誤審対策も同時に願いたい」「審判側も何か対策など出さないとフェアじゃない」
- 処分に理解を示す声:「誤審であれば何を言っても良いかと言うと、そうではない」「立場上、言って良いことと、悪いことがある」。あの発言で審判を目指す人が減る、と懸念する意見も
- 鹿島の件との比較:「槙野処分する前に鹿島サポの処分どーすんだよ」など、柏戦後の出口封鎖でまだ発表がない件と比べる投稿も相次いだ
元日本代表の本田圭佑氏も、処分について「今回の罰はサッカー界の成長を阻害する判断やと思う」と疑問を示したと報じられている。
なお、これらはSNS上の意見であり、サポーター全体の意向を示すものではない。
論点:「判定」と「発言」は別に裁かれた
今回の結果を整理すると、判定については槙野監督の主張が認められ、発言については処分を受けた、ということになる。判定が誤りだったことと、公の場で審判をどう批判するかは別の問題だ、というのがJリーグとJFAの立場だろう。それ自体は筋が通っている。
それでも多くの人が納得しきれないのは、二つの扱いの見え方が違うからだ。監督への処分は試合数と金額まで公表される。一方、誤審をした審判員への対応は、評価を通じてカテゴリーを見直す「仕組みがある」という説明にとどまる。これでは、誤りを指摘した側だけが罰を受けたように見えてしまう。
槙野監督が言った「後で『ハンドでした』と言われても、もう遅い」は、5日後にその通りの形で現実になった。藤枝の勝ち点は戻らない。年6〜7億円という具体的な数字が出た今、「導入できない理由」ではなく、「いつ、どの形なら導入できるのか」を示せるかが、Jリーグに問われている。
なお、SNSで比較された鹿島の件は、仕組みが異なる。監督の発言はJリーグの規律委員会が直接処分するが、サポーターへの入場禁止などは、まずクラブが判断して発表するのが通常の流れだ(クラブの管理責任として、Jリーグがクラブに制裁を科すこともある)。