J-SCOPE
藤枝判定・VAR2026-10-30

槙野監督の処分は2試合停止と罰金10万円 同じ日にJFAは誤審を認める 賛否と論点

結論:Jリーグは10月29日、藤枝MYFCの槙野智章監督に2試合のベンチ入り停止と罰金10万円の処分を科した。徳島戦後のインタビューで審判を「マジでレベル低い」と批判したことが、審判の判定に対する悪質な抗議にあたると判断された。

同じ日、JFA審判委員会は、槙野監督が抗議したハンドの場面について「審判員は正しい判定を導き出すことができなかった」と誤審を認めた。SNSでは「誤審を認めたなら処分は取り消すべき」という声と、「言い方の問題だ」という声に分かれている。

処分の中身

処分2試合のベンチ入り停止、罰金10万円
理由JFAの懲罰基準「審判員の判定に対する悪質な抗議」に該当。この基準の最低処分は1試合の出場停止
1試合
追加の理由
試合中に異議で警告を受けていたうえ、公開のインタビューで審判批判を繰り返したことが「加重要素」とされた。Jリーグは言動を「審判員に対するリスペクト精神に著しく欠けるもの」としている
対象試合10月31日の秋田戦、11月3日の磐田戦。太田吉彰ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る
クラブ藤枝は「心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、スタッフ・選手が相手への敬意をもって行動する姿勢を徹底するとした

同じ日にJFAが誤審を認めた

処分が発表された29日、Jリーグは「レフェリング環境向上に向けた取り組み」をテーマにメディア向けの説明会を開いた。JFA審判委員会の扇谷健司委員長は、藤枝FW川本梨誉のボールが徳島DF田中隼人の左腕に当たった場面について、次のように説明した。

判定を誤った審判員については、各試合に配置される評価者(アセッサー)が継続的に評価しており、「同じようにジャッジができないことが続けば、次のシーズンは違うカテゴリー、下のカテゴリーに行ってもらうことはある」とした。一つの判定だけで処分するのではなく、担当カテゴリーを見直す仕組みだという。

J2のVARは年6〜7億円

同じ説明会で、Jリーグの窪田慎二執行役員は、J2にVARを導入する場合、年間で最低でも総額6〜7億円が必要になる見込みだと説明した。VARの資格を持つ審判員を増やす必要があり、J3の審判員の配置にも影響するという。

より簡易的な「VARライト」や、監督の要求で映像を確認する「FVS」についても、「検討はしていますが、まだ実現には至っていない」と述べた。

SNSの反応 「処分は取り消すべき」と「言い方の問題」

元日本代表の本田圭佑氏も、処分について「今回の罰はサッカー界の成長を阻害する判断やと思う」と疑問を示したと報じられている。

なお、これらはSNS上の意見であり、サポーター全体の意向を示すものではない。

論点:「判定」と「発言」は別に裁かれた

今回の結果を整理すると、判定については槙野監督の主張が認められ、発言については処分を受けた、ということになる。判定が誤りだったことと、公の場で審判をどう批判するかは別の問題だ、というのがJリーグとJFAの立場だろう。それ自体は筋が通っている。

それでも多くの人が納得しきれないのは、二つの扱いの見え方が違うからだ。監督への処分は試合数と金額まで公表される。一方、誤審をした審判員への対応は、評価を通じてカテゴリーを見直す「仕組みがある」という説明にとどまる。これでは、誤りを指摘した側だけが罰を受けたように見えてしまう。

槙野監督が言った「後で『ハンドでした』と言われても、もう遅い」は、5日後にその通りの形で現実になった。藤枝の勝ち点は戻らない。年6〜7億円という具体的な数字が出た今、「導入できない理由」ではなく、「いつ、どの形なら導入できるのか」を示せるかが、Jリーグに問われている。

なお、SNSで比較された鹿島の件は、仕組みが異なる。監督の発言はJリーグの規律委員会が直接処分するが、サポーターへの入場禁止などは、まずクラブが判断して発表するのが通常の流れだ(クラブの管理責任として、Jリーグがクラブに制裁を科すこともある)。