長崎のJ1・U-21同日開催はなぜ話題にならない? 同じピッチで2試合、現地の反応と観客数
結論:11月1日、長崎のピーススタジアムでは、J1の長崎対東京ヴェルディの後、同じピッチでU-21長崎対U-21川崎フロンターレが行われた。J1のチケットがあれば追加料金なしでU-21も観られる“ダブルヘッダー”だった。
U-21の観客数は3,443人と、同じ日のU-21の試合で最も多かった。現地では「1日で2試合観れるのは楽しい」と好評だった一方、Xでの広がりは小さく、ニュースにもほとんどならなかった。
11月1日、ピーススタジアムの一日
| 第1試合 | 明治安田J1リーグ第13節 V・ファーレン長崎 1-2 東京ヴェルディ |
|---|---|
| 17時〜 | ヴェルディサポーターはビジターエリアから退席。J1の観客は17時の場内アナウンス以降、スタンド全体の好きな席に移動できる(自由席として開放) |
| 試合の間 | チケットを持っていれば、スタジアムシティの店や広場に出て再入場できる。売店も営業を続けた |
| 18時 | U-21のみ観る人の入場開始(川崎サポーター向けのビジター自由席は2,100円) |
| 第2試合 | 19:30キックオフ U-21 Jリーグ交流戦ラウンド第1節 U-21長崎 0-4 U-21川崎フロンターレ |
現地の反応
- 長崎サポーター:「長崎もよく考えたね!!!ちょい疲れるけど長崎サポは1日で2試合観れるのは楽しい!」。J1の敗戦後、U-21の準備が進むピッチと、大型ビジョンに流れるU-21の映像を待つスタンドの様子を伝え、「Jリーグが長崎にある」と書いた投稿も
- コンコースの光景:試合の合間、コンコースのあちこちで勝ったヴェルディサポーターと長崎サポーターが一緒に飲み始めた、という投稿
- 遠方から来た人:お目当ての選手を追って長崎まで来た人が、そのまま「U21長崎のゴール裏に隠れて」若手の試合も観戦。ほかのクラブのファンからは「観光せず他チームのU21観戦、結構アリだったな」という声も
- ゴール裏の熱量:トップとU-21、それぞれのピッチ練習も含めると「合計240分!足つりそう」という長崎のゴール裏
- 帰った人も:一方で「U-21川崎フロンターレ戦は見ずに帰ります」という投稿もあり、全員が残ったわけではない
日産から長崎へ“はしご”した川崎サポ
同じ日、川崎のトップチームは13時4分キックオフで、日産スタジアムで横浜FMと戦っていた(横浜FM 4-2 川崎)。試合の数日前には、「マリノス戦の後に羽田から16時35分発の便で長崎空港に飛べば、19時30分のU-21に間に合うのでは」と検証するファンの投稿があった。
当日、実際に「まだ試合終わってないけど、羽田向かいます。待ってろ長崎!!」と投稿した川崎サポーターが現れ、2万7,000回以上表示された。U-21川崎は4-0で勝ち、クラブも「遠い長崎の地で、そして配信から共に闘ってくださりありがとうございました」と感謝を伝えた。
U-21の観客数は同じ日で最多
ファンがまとめた同じ日のU-21の観客数は、次のとおりだった。
| 3,443人 | U-21長崎 0-4 U-21川崎F(ピーススタジアム、J1と同日開催) |
|---|---|
| 1,619人 | U-21FC東京 2-2 U-21G大阪 |
| 1,182人 | U-21岡山 5-1 U-21清水 |
| 525人 | U-21東京V 4-3 U-21名古屋 |
| 232人 | U-21神戸 1-0 U-21磐田 |
J1と同じ日に同じ場所で開いたことで、ほかの会場の2倍以上の観客がU-21の試合を観たことになる。
なぜ話題にならなかったのか
現地の評判は良く、観客数でも結果が出た。それでも大きな話題にならなかった理由は、いくつか考えられる。
- U-21 Jリーグ自体の認知:今季から始まったリーグで、試合結果を気にしている人がまだ少ない。ニュースもJ1の結果が中心で、U-21の試合は扱われにくい
- 「おまけ」に見える告知:クラブの案内はチケットや座席の運用の説明が中心で、「1日で2試合」というイベントとしての打ち出しは控えめだった
- 拡散するのは現地にいた人だけ:同日開催の良さは、その場にいて初めて分かる。Xで広がるのは、炎上やトラブル、遠くから見ても分かる話題が中心で、「楽しかった」という体験は現地の人の間で完結しやすい
論点:新スタの人気を「クラブの人気」に変えられるか
長崎のホームゲームは、平日の開催でも1万8,000人を超える観客を集めている。ただ、これまでの遠征記事で見てきたように、話題の中心は「スタジアムがすごい」「ホテルから5分」といった施設の魅力で、相手クラブのサポーターにとって人気の遠征先になっていることも、数字を押し上げている可能性がある。
新しいスタジアムへの注目は、いずれ落ち着く。そのとき、スタンドを埋めるのが「長崎の選手やクラブを応援したい人」になっているかが、本当の人気クラブになれるかの分かれ目だ。
J1の試合の後に、同じ場所で若い選手の試合を観てもらう同日開催は、施設を目当てに来た人に、クラブの次の世代を知ってもらう仕掛けでもある。3,443人という数字は、その入り口として小さくない。話題にならなかった今回の試みを、クラブが続けて、育てていけるかに注目したい。
なお、紹介した声はSNS上の投稿であり、来場者全体の感想を示すものではない。